【トリログ】#4 坂の上のお隣さん


初めまして、トリコンのUKです!


UCバークレーは大学キャンパス自体が世界トップクラスの研究機関ですが、その立ち位置をさらに揺るぎないものにする要素がもう一つあるのはご存じでしたか?


それはLawrence Berkeley National Laboratory, イニシャルでLBLまたはLBNLと呼ばれる国立研究所です。

(photo: ​https://alseng.lbl.gov/​)17つあるアメリカの国立研究所のうち4つという最大の国立研究所保有数を誇るカリフォルニアにおいて歴史上最も大切な役割を担った研究所がこのLBLです。

バークレーに隣接する傾斜の急な丘の上に立っていることから、LBLはUCバークレーのキャンパスにおいて「坂の上 (Up hill)」という共通の愛称で呼ばれます。霧の多いバークレーにおいてその立地上一番霧に包まれることの多いこのLBLの歴史について、今日は少し詳しく見てみましょう。


UCバークレーが最初に世界的に知られるきっかけとなったのが粒子物理、すなわち原子よりも細かい単位である素粒子を研究する物理学です。今から100年前、原子が陽子や電子などのさらに細かい粒子から構成されていることが明らかになり始めると、アインシュタインらによって提唱された相対論や量子力学を用いてこれらをより詳しく研究しようと世界中の物理学者が競うように様々な実験を考案しました。


これらの実験には膨大なエネルギーを用いて粒子を動かしたり粒子同士を衝突させたりするものが多く含まれたことから、分野全体には高エネルギー物理学という総称が使われることもあります。


のちにノーベル賞を受賞するローレンス博士は当時バークレーの教授としてこの高エネルギー物理学に心血を注いだ結果、現在の加速器の原型であるサイクロトロンを実用化することに成功します(1930)。



(photo: wikipedia.org)

現在はスイスのCERNを中心として世界中で建設され直径が数km、運用予算が1兆円程度にも及ぶ巨大な施設として有名な加速器ですが、この世界最初のサイクロトロンは直径が10cm, 経費は25ドル程度のものでした。


世界で最初にサイクロトロンが開発された部屋の入口には功績を記念する金属の銘板があり、現在も講義のために使われています。(もし興味があれば案内することもできますのでバークレー訪問の際は声をかけてください)


しかしながら、こうした研究成果が次々に発表された時期は第二次世界大戦と重なります。アインシュタインという稀代の天才の出現と時期を同じくした「最強の爆弾」への需要は本来純粋な科学であったはずの高エネルギー物理学に戦争のための学問という暗い影を落としました。粒子とエネルギーの関係を詳細に調べることにより、核分裂を制御して爆弾を制作できることが判明したのです。これに目を付けたアメリカ政府は、粒子を調べるための最高の実験器具、つまり加速器(サイクロトロン)を開発したローレンス博士の研究を支えるためにバークレーに莫大な人員と予算の提供をしました。政府の援助を受けて巨大なサイクロトロンを制作したローレンス博士は、核爆弾を製造するマンハッタン計画の中心人物のひとりとして歴史に名を残します。



(photo: wikipedia.org)

こうして粒子物理・高エネルギー研究機関として名を馳せたLBLは、その後発展した物理以外のバークレーの各学部とも連携しつつ現在は高エネルギー物理・ゲノム解析・分子化学・分子生物学・スーパーコンピュータ・データサイエンス等の分野で米国をリードする研究を行っています。


彼はその後国立研究所となったLBLを拠点に、生涯にわたって更に精密な実験をより高いエネルギーで行える加速器を開発し続け、現在の粒子物理の礎を築きました。彼の功績は研究所そのものの名前は勿論のこと、バークレーの道路の名前やカリフォルニアにもう一つ設置されている Lawrence Livermore National Lab (LLNL、ローレンス博士が創設) の名前に使用されるなど様々な場所で称えられています。


こうして粒子物理・高エネルギー研究機関として名を馳せたLBLは、その後発展した物理以外のバークレーの各学部とも連携しつつ現在は高エネルギー物理・ゲノム解析・分子化学・分子生物学・スーパーコンピュータ・データサイエンス等の分野で米国をリードする研究を行っています。


バークレーの理系教授や研究者の中にはLBLとUCの両方に在籍する人も少なくなく、日常の会話で頻繁に「今日は坂の上に行くんだ」というような会話が聞かれます。



(photo: ​www.lbl.gov​)

アメリカの歴史と密接に関わってきたLBLは、国立研究所というその高い権威を保ちながらも隣のUCのキャンパスで学ぶ学生や研究者に対してオープンであり続けようと様々な方法で繋がりを保っています。学生をRA(研究アシスタント)として雇ってくれることもあるLBL、理系の分野に興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。


政府直轄の研究機関であるためツアーは事前予約制・曜日指定開催です。詳細はウェブサイトにてご確認ください。


LBL website: ​https://www.lbl.gov

それではまた次回のトリコンブログでお会いしましょう!




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